仕事や通勤時にケガをしたり病気になった場合、労災保険が適用され給付を受けられます。しかし、労災保険は労働者を対象者としていますので、経営者である事業主に対しては適用されません。
事業主であっても「特別加入」をすれば労災保険の補償の対象にもなり得ます。ただ、どんな仕事でも加入ができるわけではありません。
今回、令和3年9月1日からこの「特別加入」ができる仕事の対象が広がりましたのでご紹介いたします。

自転車を使用して貨物運送事業を行う者
今までも「自動車及び原動機付自転車を使用して貨物運送事業を行う者」は「特別加入」ができましたが、今後は「自転車を使用して貨物運送事業を行う者」も対象になりました。
コロナ禍においてなかなか外食ができない状況の中、自転車で注文した食事を受け取ってその便利さを実感された方もいらっしゃるのではないでしょうか。世の中が変わりその仕事に就く方が増え、そのサービスを必要とされる人も多いと認知されたからこそ、対象に加わった形です。
<厚生労働省パンフレット>
自転車を使用して貨物運送事業を行う皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/000821215.pdf
ITフリーランス
ITの業務はその場にいなくてもPC等があればできますし、また能力が高い人は1人でも非常に大きな仕事ができます。そして仕事の仕方は雇用されるのではなく請負で受注し、個人事業主として業務をされる方も多くいらっしゃいます。
世の中でIT化が進み、いわゆるフリーランスと呼ばれる働き方で携わる人が増えています。しかし、フリーランスは労働者ではありませんので業務上の災害で労災保険は適用されず、補償が薄いと考えられておりました。
その為今後も関わる人が増えるであろう業務に対し、国がサポートし就労を後押しする体制を作ったという事になります。
ITという一言ではなかなか具体的な業務内容がわかりづらいですが、今回原則的に「特別加入」の対象となった業務は以下の通りです。
・情報処理システム※1の設計、開発※2、管理、監査、セキュリティ管理
・情報処理システム※1に関する業務の一体的な企画
・ソフトウェアやウェブページの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン
・ソフトウェアやウェブページに関する業務の一体的な企画その他の情報処理
より詳しい内容はパンフレットに記載がありますので、ご確認いただければと思います。
<厚生労働省パンフレット>
ITフリーランスの皆さまへ
https://www.mhlw.go.jp/content/000815896.pdf
4月1日にも追加された業務があります
この9月1日で2つの業務が「特別加入」対象として追加されましたが、実は令和3年(2021年)4月1日に追加された業務があります。
【令和3年(2021年)4月1日から「特別加入」の対象となった業務】
・芸能関係作業従事者
・アニメーション制作作業従事者
・柔道整復師
・創業支援等措置に基づき事業を行う方
人生100年時代、副業が認められやすくなったり等、私たちの働き方、働く意識もだいぶ変わってきたのではないでしょうか。その為、制度も時代に合わなくなれば変えていく事が求められます。
今回の内容はまさに働き方の変化が影響していると言えるでしょう。その為、今後も「特別加入」対象とされる業務は増えていく事も考えられます。
今回の改正は個人事業主等で業務をされている方だけではなく、その人達に発注する側の方たちに対してもぜひ知っておいていただきたい内容です。
【厚生労働省】
令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1_00001.html
令和3年4月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がります
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1.html